CLM052 鍼灸師として何ができるのか?

鍼灸院は肩こり・腰痛などの慢性症状で悩んでいる人がくることが多いです。捻挫・肉離れ・骨折の場合は整骨院・接骨院に行かれる場合や整形外科に行く人が多いです。さらに保険の適応が急性の症状を対象としているからです。最近では腰痛や肩こりなどの慢性症状で整骨院や接骨院に通院していたら保険組合から注意を受けたという話も聞きます。

少し、話はそれましたが、特に原因が明確でない痛みや不調で悩んでいる人が多いので治療時間が無駄を省いても小一時間はかかることもまれではありません。それでも、根が深い症状となるとすぐに効果が出ない場合もあります。その場合は患者さんとしっかりと対話し生活習慣の見直しもしっかりと取り組んでいかないとなりません。

▼生活習慣を見直す機会

慢性の症状を抱えている人の多くはとても症状に対して深刻になっておりますし、考えすぎてしまう傾向があります。さらにはどうしても今までの自分が行ってきた治療を否定してしまうこともしばしばあります。もちろん施術をする側もできるだけ短期間で治したいと思って施術にあたっています。しかし、どうしても慢性の症状の場合は時間がかかります。

今の状態になるのにはそれなりの理由と時間がかかっているからです。薬も効かない、整体、マッサージ、どんな治療を行って来ても満足する結果が出ない。施術する側ももっともっと研究が必要です。しかし一番重要なのは施術をする側と受ける側も全力かどうか、一生懸命かどうかたと最近つくづく感じます。治したいと治りたいの気持ちがひとつになることが重要です。

▼どこか人任せな感じがある

辛い症状を抱えていて、いろいろな病院や治療院を転々としてジプシーされている患者さんはすでに疑心暗鬼になっていて、今度の治療は自分には合うかどうかを悩んでいる場合が多いです。私は全力で対応していると信じております。しかし、患者さん本人がどうにか治して欲しいという思い欲求が強すぎると良い結果が生まれません。なぜか?それはすこし厳しい言い方になるかも知れませんが、あまり自分の生活は改善していないことがあるからです。

朝から晩までパソコンをしている人が目が疲れ肩こりや腰痛になりやすいことは冷静に考えればわかることです。しかし、以前は同じ環境でもそんな症状には悩まされていなかったと言われることがあります。

それは、年齢が若かったこともあります。多少のことでは身体は悲鳴をあげません。若ければ体力があります。耐久力が若ければそれなりにあります。しかし限度があります。

さらには、暴飲暴食。これは人により基準が違います。しっかりとチェックしてみると嗜好品などの過剰の摂取があったりあまりにもバランスの悪い食生活をしていたりすることもあります。それは本人は気づいて以内場合もありますし、気づいていても今の症状とは無関係と思っていることも多いです。

そして、仕事環境。人間関係。などいろいろな要素があります。全部を改善できるとは思っていません。しかし改善しようとする努力を患者さん本人にも必要なのです。

ケガをする。それでも練習する。ランニングをする。ヨガをする。ウオーキングをする。フィットネスクラブに行く。

本当にこれで今まで悩んでいる長期化している痛みが治療だけで治るのかどうか。冷静に考えてみればわかることです。自分の生活は改善せず治療を受けて治らないと言われた場合はひじょうにもどかしさを感じることがあります。

私も全力で治療をします。あなたもぜひ全力で今の痛みを治して快適な生活を送れるように協力をしていきましょう。

治ったら何がしたいですか?

▼あとがき

私は鍼灸師として一人でも多くの人の痛みや不調を治したい真剣に考えております。しかし、痛みや不調がある人がまったくいなくなったら私は生活をすることができません。世の中から腰痛肩こりをなくしたいと思ってもそれが現実になるとわれわれの仕事はなくなります。そんなジレンマを感じる時があります。腰痛肩こりが世の中からなくなることがないこともわかってはいます。しかし、腰痛や肩こりがあってやりたいことができない人がいるならばその腰痛や肩こりを解消して笑顔でハツラツとした生活を送れるようにこれからもサポートしていきたいと思います。

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